債務整理してもクレジットカードを使える方法はあるのか
クレジットカードは今や現代生活に欠かせないものです。債務整理によって手持ちのカードが強制解約されることは、容認しがたいものではないでしょうか。
確かに整理開始の時点で新規発行は困難になるものの、返済状況に問題のない既存のカードについては、借金を減額しながら手元に残す手段があります。
再びカードの新規発行が可能となる時期を含め、決済手段に不安を持つ人に適した「任意整理」を中心に解説します。
クレジットカードを残しながら債務を減らす方法
債務整理は必ずしも全債権者を対象にするものとは限りません。複数ある借金のなかから特定の債権者だけを相手取って交渉を行えば、交渉を行わなかった債権者との取引に悪影響を生じさせることはありません。
このように特定の債権者だけを和解交渉の相手方とする手続きは「任意整理」と呼ばれます。
よく決済手段として使うクレジットカードを手元に残しておきたいときは、任意整理に着手し、クレジットカード利用分以外の債務を減らすことで返済負担を減らすことが出来るのです。
自己破産・個人再生では強制解約になる
任意整理はあくまでも私的な交渉に基づいて行うものですが、他の債務整理の手法(自己破産・個人再生)は裁判所を通して手続きします。
左記のような法的整理と呼ばれる手法では「債権者平等の原則」が厳格に適用されるため、カード発行会社などの一部債権者だけを整理対象から除外することは認められません。
したがって、クレジットカードを手元に残しながら借金減額を目指すのであれば、任意整理が唯一の手段です。
任意整理の注意点
任意整理に着手する際は、目先のメリットばかりでなく「将来的に良い方法と言えるか」を慎重に検討しなければなりません。
当事務所では下記2つの注意点を含め、昨今の借金問題の傾向に合わせて個別にベストな提案を行っています。
注意点1:減額できるのは利息と過払い金部分のみ
任意整理では元本部分の返済を約束するため、減額できるのは①契約金利にあたる利息部分と②過去に払いすぎた利息(過払い金)のみです。
個人再生では5分の1程度までの残債圧縮・自己破産では残債全額カットを実現できるのに対し、任意整理では思い切った減額は難しいと言わざるを得ません。
注意点2:更新審査時に解約される可能性あり
任意整理に着手した時点で、最長で完済から5年にわたって「信用情報」(利用者毎にローン取引履歴をまとめたデータベース)に整理した事実が記録されます。
そこで問題となるのが、3年~5年毎に実施されるクレジットカードの更新審査です。
カード更新の可否を判断する基準は公にされていないものの、高い確率で信用情報の照会が行われます。
照会の際に他の債権者と交渉を行ったことが漏れ伝わり、発行元会社に更新不可と判断されてしまう可能性があるのです。
カード新規発行が可能になる時期
どうしても法的整理あるいはカード利用枠の任意整理が必要であるケースでは、強制解約は免れません。
しかし、一定期間が経過すれば、他社カードの新規発行は十分見込めます。
信用情報に掲載され、与信審査の通過が難しくなる原因である「異動記録」(債務整理などの金融事故歴)には保存期限が設けられているからです。
機関名称 | 61日以上の滞納 | 任意整理 特定調停 |
自己破産 | 個人再生 |
---|---|---|---|---|
JICC | 1年※ | 完済から5年 | 5年 | 5年 |
CIC | 5年 | 完済から5年 | ×(記録しない) | 5年 |
KSC | 5年 | 完済から5年 | 5年 | 10年 |
無理に返済せず早期相談に踏み切るべき理由
借金に苦しむ人の多くは「返済するためにクレジットカードの利用枠を使う」「利用限度額に達したら別のカードを契約する」といった悪循環に陥ってしまいます。
この過程で滞納を繰り返すようになり、発行元会社側の判断で利用停止や強制解約に至るとどうなるでしょうか。
信用情報ではなく社内情報として金融事故歴が保管され、同じ会社で再びカード発行に応じてもらうことは不可能になります。
同じように複数のカード発行元会社と返済トラブルを起こせば、半永久的に決済手段に著しい制限を受けるでしょう。
リボ払い・キャッシング枠利用の頻度が上がる前に相談を
任意整理でクレジットカードを確実に手元に残そうとするときは、消費者金融並みの高金利である「リボ払い」「キャッシング枠」の利用が増える前の相談が肝心です。
利息がかさんで完済の目途が立たなくなってしまう前にほかの債務を減らすことで、これまで通り無理のない決済利用を維持できます。
「債務整理後の生活の見通し」は気軽にお尋ねください
債務整理する人の多くは、クレジットカードやローン利用が困難になることで「生活が一変するのではないか」と怯えているのではないでしょうか。
カード決済という手段を維持するには、デメリットも十分に理解した上で早めに任意整理に着手するのがベストです。
20年以上のキャリアを持つ宮重法律事務所では、ご相談者様ひとりひとりの事情を丁寧に診断し、整理方法や手続き終了後の見通しについて回答しています。
疑問点についてじっくりとやり取りをご希望される方には、メールやLINEによる無料相談にも対応しています。
お手元のカードを残す方法を含め、借金問題が解決した先のライフプランの提案は当事務所にお任せください。