再生計画の途中で返済が難しくなったときの「ハードシップ免責」とは

再生計画案の途中で返済が難しくなったときは、残りの弁済額の免除(ハードシップ免責)が認められる可能性があります。ただし一定要件を満たす必要があり、当初説明した通りの返済計画が実現できない理由の説明は必要不可欠です。

本記事では、まず個人再生後の残債が支払えなくなった時の2つの手続きを紹介し、ハードシップ免責の詳細(要件・住宅ローン特例への影響)を解説します。

再生計画の途中で返済困難になった時の手続き

個人再生の手続きでは債務者自ら「再生計画」(債務圧縮後の返済計画)を立てられますが、計画実行途中に返済が難しくなるアクシデントが起こらないとも限りません。

万一の際に備え、民事再生法では返済負担をさらに軽減するための2通りの手続きが用意されています(下記参照)。

【優先順】再生計画案の途中で返済が難しくなった時の手続き

  • 再生計画の変更:当初計画した返済期間を最大2年延長することで、定期返済額を低減する手続きです(民事再生法第234条1項・第244条)。ただし,債務の減免は認められません。
  • ハードシップ免責:再生計画認可決定で圧縮された債務のうち、既済弁済額を除く部分の返済義務を免除する手続きです(民事再生法第235条第1項・第244条)。濫用を防ぐ意図から「再生計画の実行が極めて難しい場合」にしか認められません。

①・②の手続きのうち、裁判所に認められやすいのは①再生計画の変更です。②ハードシップ免責はあくまでも最終手段であり、認められるにはより厳しい要件を満たさなければなりません。

ハードシップ免責が認められるための条件

ハードシップ免責が認められるには、既済の弁済額が一定額以上に達し(条件①)、再生計画を変更しても完済の望みは薄い(条件②)と判断される場合に限られます。

条件①:既済弁済額=圧縮された債務の4分の3以上

手続きをとる時点での既済弁済額は、再生計画案で圧縮された債務額の4分の3以上かつ、再生計画認可決定当時の清算価値※を超える額でなければなりません。

※清算価値とは

債務者の財産の売却価値であり、自己破産したときに債権者に分配できる金額を指します。債権者の利益を最大化するために、個人再生後の弁済額は清算価値を下回ってはならない(清算価値保障原則)とルール化されています。

条件②:債務者の責めに帰すことができない事情

扱いが難しいのは、ハードシップ免責の手続きに至った事情です。

民事再生法では「債務者の責めに帰すことができない事情」があるときに本免責を認めるものとされており、返済原資が確保できなくなるまでに不可抗力が働いた事実を客観合理的に説明する必要があります。

少なくとも、浪費・自己都合退職・一時的な収入減では認められません。

【一例】ハードシップ免責が認められる可能性のある事由

  • 勤務先が経営不振に陥り、整理解雇された
  • 両親に常時介護が必要になり、退職せざるを得なくなった
  • 業務中にケガを負い、後遺症が生じて所得能力が下がった

こうした事情説明にあたっては裏付け資料(カルテや労災関係書類など)が必要であり、裁判所により判断基準が若干異なる例もあります。また、説明そのものが裁判所の価値基準に合致した文面であることも重視されます。

宮重法律事務所では以上の点を考慮し、ヒアリングを徹底した上で地裁の運用を織り込んだ対応を進めています

ハードシップ免責の注意事項

ハードシップ免責はあくまでも“最終手段”であり、デメリットがまったくないわけではありません。特に、住宅ローン返済中である場合は要注意です。

持ち家の抵当権が実行される可能性が高い

ハードシップ免責の効果は、適用した「住宅資金特別条項」(住宅ローン特例)にも及びます。再生計画の実行だけでなく住宅ローン返済も困難になったものとみなされ、債権者による抵当権実行や保証人への請求は妨げられません。

以上の点から、当初「持ち家の維持」を目的として個人再生を選択した人は、出来るだけハードシップ免責を避けるべきです。

自己破産の「免責不許可事由」にあたる

いったんハードシップ免責を受けると、その後7年間にわたり自己破産できません(免責不許可事由/破産法252条)。手続きの際は家計再建のプランも明確にし、必要であれば行政や地方自治体の福祉制度の利用を検討すべきです。

当事務所では収支改善アドバイスも行っています。気軽にご相談下さい。

生活維持が難しくなる前の早期相談が大切です

ハードシップ免責には厳しい要件が定められており、持ち家の担保権を実行される・自己破産出来なくなる等のデメリットも存在します。

どうしても返済を続けられなくなったときは「再生計画の変更」を優先的に検討し、債務整理の専門家とよく打ち合わせする必要があります

宮重法律事務所では、手続きの長所・短所をクリアに説明することを心掛けています。

どんな債務の悩みでも、相談タイミングが早いほど解決の選択肢をより多く確保できます。無理に返済しようとせず、生活維持が難しくなる前にご状況をお聞かせください。

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