10年以上経過していても過払い金請求できる条件とは
もう請求時効が完成しているから」と過払い金請求を諦めるのは早計です。弁護士が診断した結果、時効起算点が10年以内にあると分かるケースがあるからです。
たとえ請求権の消滅が確実視される状況でも、他に返還実現の方法がある可能性は捨てきれません。現在も返済を続けている(もしくは最近まで取引があった)人は、検討中の過払い金請求について下記の情報が役立ちます。
過払い金請求権の消滅時効
過払い金(不当利得請求権)の消滅時効は10年であり、その起算点は「最後に借入または返済を行った日」と法的に解釈されています。
そもそも過払い金は改正利息制限法によるグレーゾーン金利の撤廃(2010年6月)以前に発生していたものであり、すでに取引から10年以上経過しているケースは少なくありません。これから請求に着手しようとする場合、貸金業者から時効援用(時効完成による返還義務の消滅)を主張される可能性は高いと言えます。
払いすぎた利息の返還を実現するには、あらかじめ最終取引日が直近10年以内にあることを法的に主張できるか、見通しを立てなければなりません。
10年以上経過していても請求できる条件
最終取引日が直近10年以内にあると主張するには、①過払い金発生当時・②直近10年以内の取引が連続していると法律上、認められる必要があります。主張が認められるのであれば、②における最終取引日が時効起算日となり、過払い金の返還義務があることを貸金業者に対し指摘できるのです。
一例として、同一貸金業者に対する下記のような取引履歴が挙げられます。
【例】「取引の連続性」を根拠に過払い金請求できるケース
①2006年12月~2009年12月:消費者金融A社から年利24%で100万円借入し完済
→過払い金発生(請求可能額=利息制限法の上限15%を超過して支払った利息+法定利率5%)
②2010年1月~2020年12月:同A社と契約更新時に年利13%に見直し、その後200万円借入し完済
→①と一連取引であることを主張することで、消滅時効の起算点=最終取引日のある2020年として請求できる可能性あり
過払い金の請求対象となる貸金業者(消費者金融・クレジットカード発行会社)では、本事例のように限度額内で何度でも借入できる契約を行うのが一般的です。
改正利息制限法の施行前からリボ払いによる支払いを継続しているケースなど、取引の連続性が主張可能な例は少なくありません。
「取引の連続」を主張するための条件
取引の連続性が認められる条件は、法律上明確にされていません。あくまでも過去の判例に基づいて個別ケースで判断されていますが、専門家は下記の条件を目安としています。
条件①の基本契約とは「契約の様態」「年会費支払や更新契約の有無」などの多角的な材料で判断されるものです。明らかにひとつの基本契約に取引が集約されている状態でも、債権者から異論が唱えられる可能性は否めません。交渉を始めるにあたり、客観合理的な主張を組み立てておく必要があります。
諦めず相談してみることが大切です
過払い金請求の消滅時効は最終取引日から10年であり、過払い金発生日が起算点ではないことを意識する必要があります。
同一債権者・同一契約における直近の取引について「過払い金発生当時との連続性」が法的に認められれば、10年以上経過していても請求可能です。
宮重法律事務所では、契約当時の資料が残っていないケースでも過払い金返還の見込みをお伝えできます。
当事務所でのご相談は無料です。請求を諦めていても、思わぬ切り口で払いすぎた利息を取り戻せるかもしれません。まずは専門家の診断を受けてみることが大切です。